半年の生活を経て就職する看護師

離島の医療の充実は国家的な問題として掲げられ、国だけでなくそれぞれの地域で医療水準の向上を目指した施策が行われている。看護師の人材不足を補うという考えから高待遇での求人募集も行われており、期間限定で働いてみたいという看護師が応募するようになってきた。
典型的な例として挙げられるのが半年の契約で、その間に必要になるほとんどの費用を支給してもらえる求人募集がある。一般的な都会での看護師の給与と同等かそれ以上の給料を与えられ、さらに引っ越し費用や住居費、車などの費用まで支給してもらえる待遇なのだ。
このような高待遇が与えられている代わりに、病院やクリニックなどの医療機関での実務経験が十分にあり、即戦力になることが求められているのが一般的で、それを示せなければ応募はできない。しかし、通常は3年程度の実務経験があれば応募できるため、離島での生活をしてみたいという考え方から応募して、半年限定の離島での生活を満喫している看護師も多くなっているのである。その半年限りで辞める事例が多いものの、中には就職して同じ離島で働き続けている看護師もいるのが現状だ。
半年間働いたことで生活と仕事のバランスが取りやすいことに魅力を感じたり、地域の人とのつながりが深くなってもっと地域に貢献したいという気持ちが生まれたりしたことで、就職する道を選んでいるのである。このように高待遇の求人や離島生活への興味から決めた一時的な滞在のはずが、働くことを通して離島の魅力に気づき、継続して働くようになる例は少なくない。